アメリカでの生活とアートについて

「機能障害」と「社会的な障壁」について(アーティストも障碍者と言えるのか?)

「機能障害」と「社会的な障壁」の違い

「障害」とは何か、本当に難しいテーマです。下の図は、いつもお世話になっている方からの情報です。京都大学障害学生支援ルームの資料のようですが、とても分かりやすく紹介されています。

そこから「機能障害」と「社会的な障壁」の違いが分かると思います。

https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/platform/deliverables/slides/pdf/01/01-04.pdf 
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/platform/

ご助言も含め、以下のようにまとめてみました。

障害は「機能障害(身体・知的・精神障害など)」と「社会的な障壁」に分けられる。

たとえ「機能障害(身体・知的・精神障害など)」が重くても、社会的な障壁が小さければ障害として問題にならない。

1・発達障害の場合、現代社会では問題にならないケースが多い(いわゆる、個人の性格として還元される?)。

2・身体障害の場合、普通に日常生活を送ることができれば障害として問題にならない。例えば視力が低くても、眼鏡をかければ問題ない。あるいは腰のリハビリを受けていても、移動できていれば社会的障害として問題はないと見なされる。

これに対し、周囲が段差だらけで車椅子で全く移動ができない、聞こえないことで情報が得られない、仕事もできないとなれば、大きな問題になる。さらに就職採用で不利になる、すなわち差別の問題が起こる。

障害の表記について

「障害」の表記については、「障碍」「障がい」を用いる理由のほとんどが「クレームを受けないため」「不快だと言われないため」というものだそうです。
また「本質的な差別の問題は表記をどう変えたところで変わるものではない。このような表記の変更は、むしろ本質的な問題を回避しているだけではないか。」という意見も納得できます。実際、日本の法律上の表記は「障害」です。

この点において、それぞれの考え方があると思いますので、私は適材適所で柔軟に言葉を変えて行く必要があると考えています。

DSM-5とICF

日本では、「身体障碍者などの方が、目に見えづらい精神障碍者よりも分かってもらえるから楽だ」という意見を様々な方からいただきます。確かにそういった面もあるかもしれませんが、身体障碍の方にも上記で述べた社会的な障壁があります。つまり、人はそれぞれが生きづらさを抱えているので容易に苦しみを比較できるものではないと思います。しかし社会的障壁は、可能な限り取り除くことができるはずです。

最後にDSM-5とICFの情報も共有します。これは身体障害などは含まない精神障害(発達障害を含む)の分類です。


DSM-5
https://www.youtube.com/watch?v=iu8xy95E60I

国際生活機能分類(ICF)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

ただ現在のDSMには多くの批判や意見が寄せられているように、診断基準のあり方やその背景となる考え方は常に変化していくそうです。つまり、何を持って精神障害とするかということを、世界中の専門家が常に問い直しています。そこからケアの必要な人を診断し、そうでない人と区別しなくてはなりません。

アーティストも障碍者と言えるのか?

時々「アーティストも制作する上で苦闘するから、障碍者と言えるのでは?」という意見を聞きますが、こういった分類もありますので、「表現を生み出す苦しみ」との違いをきちんと区別する必要があると思います。また精神障碍を持っているからと言って(精神障碍を公言しない方もいます)、精神力が弱いと責めることはできません。言い換えれば、精神力が弱いから良い作品が作れないということにも繋がらないと考えています。