アメリカでの生活とアートについて

搬入完了!

企画個展(2021年3月15日 – 4月9日)@フリオファインアーツギャラリー、ロヨラ・ユニバーシティ・メリーランド

julioartgallery.com

照明に問題があったため、全体の展示イメージは4月ごろに投稿します!

個展の搬入が無事に完了しました。この展示ではコロナのこともあり会場そのものが使えなくなる恐れがありました。そのため、プロジェクトとオンライン展示を想定したとてもコンパクトな展示になっています。

思っていた以上に会場が広かったので大変な作業になり、特にワイヤーの設置がなかなかできず3日間もかかりました。壁の裏にコンクリートがあるのでアンカーを差し込めなく、結局ホワイトボックスで彫刻を支えるという手法になりました・・・。それでもなんとか力を尽くしてくれたメーガンさん、ビリーさん、助手さんたちにとても感謝しています。

この展示タイトルは「さまざまな雨が海に収斂する」であり、コミュニケーションの中に存在する多様性を意味し、「海」は収束、統一を暗示します。今回のタイトルを決定するにあたり、予備校時代以来の相談相手であるK君に聞いたところ「テーマはお互いに共有できる何か、交流とか共有をイメージさせる言葉がいいと思う」と提案してくれたおかげで、水のサイクルのイメージが浮かびました。K君の時代をつかむ洞察力にはいつもながら感嘆させられています。それに加え、幼地味で建築家のS君の高度で的確な設計図とアイデア、藝大時代のクラスメートだったK君の驚くべき高い技術とセンスあるホームページ作成のおかげです。

この展示に先駆け、キュレーターがギャローデット大学とのコラボを希望したのですが、3ヶ月過ぎても決まらない状態です。ただこのプロジェクトはサウンドアートなので、組織にとって慎重な検討が必要なのかもしれません。しかしろう者のアイデンティの確立にいたるまでの歴史をみると、そうなったとしても仕方のないことです。

ギャローデット大学が出版した書籍にもある通り、ろう者は一般的に時間をかけた特別な訓練を必要とし、しばしば意思の疎通のずれも出てきます。実際、藝大時代にも「聞こえない人は意思の疎通がよくできないから伸びないし、結果的に閉じこもるから扱うのが難しい。君は国内にいるより世界に出た方がいい。」とある画商さんからアドバイスを受けました。私はそうした可能性を想定し、これまでにたとえ時間がかかっても「諦めなければ、遅れてでさえ必ず世界に到来する」(遅れて世界に到来する)と信じてやってきました。幸い、渡米前から私のテーマを理解してくれた画商さんがいるので、帰国したらその方のところで個展をする予定です。彼は、私に「あなたにしか表現できない、伝えたいものを探求すべきです。」と言ってくださいました。

思えば多くの人からも海外行きや展示に疑問を持たれたものです。その理由が「聞こえないのにどうやって英語でコミュニケーションを取るのですか?」ということで何度も言われました。その点において、博士を修了してからも継続して英会話やTOEFLの勉学に多くの時間を費やしました。またアメリカの大学院での研究も、藝大在学中からの恩師である齋藤典彦先生、人工内耳のSPのスペシャリストである城間将江先生の推薦状、及び都立教員であったW先生とご関係者とのご理解とご協力がなければ実現できなかったことでした。今回の展示でも齋藤先生からの貴重なご助言を頂くことができました。

そして、この国に来てはや3年が過ぎようとしていますが、やはりインターネットが発達していても日米相互の誤解がとても大きいと思いました。どうしても写真や映像から流れるイメージが現地で見聞きする内容と違っており、日本からのオンラインニュースを見ていてもしばしば違和感を感じます。アートでさえ、日本で知られた作家には予想していた以上にバリエーション豊かな作品やドローイングがあり、常にアップデートしているようです。個人差もありますが、大学の教授も若者と同じように最新の考え方や知識を身につける努力を重ねています(少なくともマイカで会った教授たちは皆そうでした)。

ともかく、日本での経験だけではなく今回の個展準備からも学ぶことが多かったように、海外での経験を通した視点もこれからさらに必要になってくるように思えました(ただ滞在するだけではなく)。これまでのことを振り返って、日本画もグローバルな世界に立つにあたり、世界では学べないことを多く吸収できたと確信しています。