アメリカでの生活とアートについて

個展目前

コロナのこともありスケジュールが不安定でしたが、幸いボルチモアでの個展が決行されます。展示契約書があり、画廊から報奨をいただくので一安心です(画材と旅費、搬入費などに相殺されてしまいましたが・・・)。実に半年の間およそ80通もメールのやり取りを続けたので大変でした。

アメリカでも日本と同じように紹介などで画廊や画商さんとつながります。日本と違うところはプロのキュレーターの権限が強く、作家の作品、個性、経歴などに基づいて展示をするかどうか判断されます。作家からお金を支払う貸し画廊があまりないことは、言い換えれば自分のアートが現代の社会に必要とされているかどうかがはっきりします。

この展示の話があったのは、大学の関係者であり、ボルチモアの美術館でも作品が展示されていたアーティストが私を画廊に紹介をしてくれたからです。最初はグループ展としての話し合いが進んでいましたが、最終的には個展をやりたいと提案してくれました。


この話し合いで学んだことは密なコミュニケーションが必要なこと、キュレーターの要望をきちんと受け止めた上で円滑に進めることです。もちろん、全部イエスマンであっても強引であってもダメで、常に状況に応じて柔軟になる必要があります。当然フラストレーションがたまることもありますが、常に丁寧に対話することが大切だと思います。


2013年にマンハッタンに滞在した際にも、著名なマレーシア人のアーティストから「アメリカに行けばすぐ展示できるわけじゃない、もし君が望んだとしても10年以上画廊での展示が実現しないことを覚悟した方がいい。アメリカでは実力だけじゃなくて、資金、人脈も大切なんだ。もし展示したければ日本の画廊に代理で交渉してもらった方がいい」と言われたことがあります。

まさに彼が言うようにアメリカは自由と平等を歌っていても、自由にアートマーケットに参加できるわけではありません。(そのことがアートワールドの制度批判になっているけれど)

すなわち、アメリカでも人脈や社会的資本がないと展示が実現しないということです。それに20数年前に比べ、競争力もはるかに激化しておりアートシーンの流れも大きく変わっています。

今回の展示の搬入に、大学の時に一つ上の学年でクラスメートだったエミーさんもマンハッタンから手伝いに駆けつけてくださる予定です。彼女は現在パートナーがコロンビア大学で法律を専攻しているため、ニューヨークを拠点にしています。

彼女はボルチモアの画廊と航空宇宙局NASAで個展をしていますが、学生時代にジョンズ・ホプキンズ大学の特別なプロジェクトに選抜された方です。大学院一年の時、レシデンスとなっている建物の画廊で彼女と一緒にグループ展をしたことがありますが、病原菌と惑星の働きを結びつけた表現をしており素晴らしいセンスの持ち主です。

ともかく展示が無事に開催されそうでほっとしました。気温がマイナス10度前後ですので手の霜焼けがひどくなってきました。あともう一息、頑張ります。