アメリカでの生活とアートについて

シンシナティでの新しい生活

数日前にオハイオ州のシンシナティに着きましたが、経由のアトランタ空港ではPCRの検査も隔離もありませんでした。東京の暑さに比べ、平均の気温が13〜20度前後くらいです。

画廊が運営しているスタジオ兼用のアパートはとても古いけれど(1899年建造!)、5−6人は住めそうなくらいの広さです。天井も4メートルあり、制作環境としてはとても良いと思います。ただ、少し郊外なので近くに大きなスーパーがないのが難点です。

今回のアメリカの滞在はアーティスト・イン・レシデンスなのですが、隣にあるウェーブプールギャラリーの下にもホームセンターのような木工室があり、上の階には作品やパフォーマンスの撮影所があります。画廊の目の前にも工具店があり、手軽に制作道具が手に入ります。

ウェーブプールギャラリーは、シンシナティのコンテンポラリーアートの画廊なので、ザハ・ハディッドが設計した美術館であるコンテンポラリーアートセンターとつながっています。画廊から車で7分くらいです。

美術館周辺は栄えていて、街並みはマンハッタンやシカゴを思わせるような雰囲気です。一昨日美術館に行ってみたところ、コロナの影響もあって人が少なかったです。

携帯のSIMカードを買うためにMetro T&Mobileという携帯のお店に入った時、店員から中国語で意地悪そうに声をかけられました。「チャイナ、チャイナ。」と嘲るように笑っていたので、ここでもアジア人差別を強く目の当たりにしました。現在テネシー州に住むアーティストである友人も、アジア人差別のため生活が大変だとの連絡がありました。

コンテンポラリーアートセンターの館長さんは今ヨーロッパにいるのですが、リモートで美術館の運営をされています。私とマークさんのコラボレーションに関わっている美術館なので、早速中に入ってみました。

この作品が一番面白かったです。3つのスクリーン上で女性たちが奇妙な声を出しながら歌うだけなのですが、音と沈黙の絶妙なテンポ、精神世界に入り込んだかのようなサイコな表現がなんとも言えません。もう一つの映像は植民地支配に関するもので、伝統的な黒いボードにカリカリと文字を削るだけでした。しかしスクラッチの音が観客の想像力を喚起させ、強く印象に残る作品でした。他にナムジュンパイクのようにビデオを使った空間で、鏡の効果を生かす不思議な演出をしていたのが以下の作品で迫力がありました。

この美術館はマンハッタンのモマとか、グッゲンハイム美術館のコンテンポラリーの階だけを切り取ったような美術館なので、一般の方には分かりにくいと思います。しかし何度も現代アートを見て来た人にとっては、なかなか醍醐味があります。

アメリカのコンテンポラリー系はハイレベルの彫刻や絵画の展示も多くありますが、逆に日本での現代美術館はインスタレーションや映像系が多いと聞いています。歴史的な経緯を見れば、自然とそうなっても不思議ではありません。つまりアメリカは歴史重視で、日本は輸入形式というスタンスの違いだけです。